図は内閣府知的財産戦略推進事務局から公表されている「経営デザインシートー経営をデザインする」によると、経営デザインシートの(B欄)はこれまでの価値創造メカニズム、(C欄)はこれからの価値創造メカニズムになっています。
お気づきの方も多いかと思いますが、「これまで(B欄)」の価値創造メカニズムと「これから(C欄)」の価値創造メカニズムで、資源・ビジネスモデル・価値の順番が、
(B欄)は、資源→ビジネスモデル→価値
(C欄)は、資源←ビジネスモデル←価値
となっていて、(B)欄と(C)欄で矢印の向きが逆になっているんですよね(図の上段)。
しかも、(C)欄の価値のところに「ここが重要!」とまで書かれています。
さて、どう考えればよいのでしょう。。。(汗)
よくわからないときは原点に戻って考えるのが一番!ということで、この経営デザインシートの大元の資料である内閣府の「知財のビジネス評価検討タスクフォース報告書(以下、タスクフォース報告書)」を紐解いてみます。
タスクフォース報告書には、価値創造メカニズムのしくみとして、下段のような図が描かれています。
この図から、「企業は、環境を理解し、ビジネスモデルf(x)に適合した保有資源(x≒知的資産)を「組み合わせ(=ビジネスモデル(fx))」ることで、ユーザの求める価値)(Y)を生み出していく一連の仕組み」と読み取れるかと思います。
ここで、経営デザインシートに戻ってと、、、
(B)欄は「これまではこのような資源(xn)を"組み合わせて"ビジネスモデルf(x)に代入して価値(y)を創ってきた、という過去から現在の価値創造メカニズムを示すため」のものなので、資源→ビジネスモデル→価値」
(C)欄は「これからは顧客に新しい価値(y)を提供していく、そのために価値(y)を創造するためのしくみであるビジネスモデルがf(x)で、そのために必要な資源の"組み合わせ"が(xn)」
・・・という風に捉えると理解しやすいのではないかと思います。
いいかえると、未来(将来)のビジネスモデルをデザインするときには、まず最初に既存のxn(≒知的資産)を精緻に分析して洗い出すのではなくて、まず顧客に提供する価値yを創って顧客に届けるためのビジネスモデルf(x)をデザインしてから必要な資源xnをうまく組み合わせればよいということ。
xとかf(x)とか、、、わかりにくい。。。
もう少し平ためにいうと、経営をデザインするには、まず最初に精緻な現状分析をするのではなくて、まず顧客を定義して提供する価値を創造するのが先だということなのです。
これまで、いろんなところで「まずは現状分析から」とか「徹底的に現状分析をする」などといわれてきていると思います。現状分析はもちろん大事なことです。
しかし、経営をデザインするには(現状分析が必要ないわけではないのですが)「顧客への価値創造をまず先にデザイン」しましょう、ということです。
右から行くか左から行くか、真逆のアプローチですよね。
この2つの違いは、次回に考えてみたいと思います。