経営デザインシートの(C)欄「これからの価値創造メカニズム」は、これまでの価値創造メカニズム(B)欄の延長線上で考えるのではなく、未来からバックキャストして考える、と書かれています。
で、バックキャスト(backcast)とはなんぞやと。。。
forecastと比較して考えた方が良さそうなので、ここではforecastとbackcastについて考えてみます。
forecastは、ざっくりいうと、現状を分析してあるべき姿とのギャップ(問題点)を洗い出して改善策をコツコツ積み上げていくアプローチ、ギャップアプローチともいいます。図でいうと①です。
backcastは、同じくざっくりいうと、未来のありたい姿から逆算して戻ってきて現在の課題を考えていくアプローチ、①と対比していうとポジティブアプローチですかね。図でいうと②です。
未来のビジネスモデルをデザインするときに、forecastで考えるのとbackcastで考えるのでは何が違うのでしょう。。。
forecastは、現在保有しているリソース(経営資源、知的資産等)を踏まえて、あるべき姿とのギャップを改善する、あるいは適度にチャレンジをするようなイメージ。なので、例えば会社の生産性を●%向上させるという目標(あるべき姿)に対して、現状を分析して改良・改善的なアプローチを実施していく感じ。
現実感がある姿が描きやすいと思いますが、同業他社もすぐに同じような対策をしてきそうですね。。
backcastは、現時点での実現性はさておき、ありたい姿を設定して後からどうやって実現させるかをどうにかして考えるようなイメージ。
なので、例えば30年後には●●●(現在の常識からするとぶっとんでいるくらいのありたい姿)を実現したい、そのためには○年後には▲▲▲の状態になっていないといけない、だとするとどうやって・・・とアプローチしていく感じ。
ぶっとんだ非現実な姿を描くことになるかもしれませんが、そこからバックして戻ってくると、新しいありたい姿が描ける可能性が秘めていそうですね。。
この違い、この説明でおわかりいただけるだろうか。。。
もうちょっと、、、誤解を恐れずに端的にいうと、
forecastは、あるべき姿に対して現在の状況から改善で実現させようとするアプローチ。
backcastは、ありたい姿に対してどうにかして実現させようとするアプローチ。
・・・という感じ。
で、そろそろ経営デザインシートに戻りますが、経営デザインシートの(C)欄は未来からバックキャストして考えると書かれています。
なので内閣府は、改善のためのあるべき姿というよりも(ぶっとんだ)ありたい姿をデザインしてね、といっているわけなんですね。
もちろん、経営デザインシートを使って改善アプローチ(forecast)で未来を描くこと自体はNGではないと思いますので、そういう使い方もありでしょう。
自社の問題・課題に応じて、使い分ければよいと思います。
経営デザインシートは開示してもいいですが、あくまでも思考補助ツールですからね。
この話をすると必ずといっていいくらい「例えば町工場さんがうどん屋さんに業種転換するということ?」みたいな質問が出ます。
そんなことは、まったく言っていないつもりなんですけど、、、うまく説明できなかったのかと反省・・・。
創造的破壊、破壊的イノベーション、です。
詳しくは、そのうちこのブログでも書くかもしれませんが、私どものワークショップでは毎度毎度お話ししています。
それと、余談ですが、特にSDGsを意識して自社の未来を描く場合は、SDGs自体がbackcastを取り入れているので、自社の未来もbackcastでアプローチした方がよいと思います。
このブログを読まれたみなさんは、forecastとbackcast、どちらのアプローチで経営デザインシートを描きますか?