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新BizLabo通信第30号:経営デザインシートに関する一考察(12)創業・新規事業と経営デザインシート

 図は(一社)関西dラボで講師を担当させていただいた尼崎商工会議所の創業塾の今年度のコンテンツです(本記事投稿時点では終了していますので、そのうちリンクが切れる可能性があります)。

 

一般的な創業塾や経営革新セミナーなどではビジネスプラン(事業(創業)計画書)の作成をテーマにしていることが多いかと思いますが、dラボの創業塾は 第1講から最終講まで一気通貫でビジネスモデル・キャンバスを使ったビジネスモデル創りをテーマにしています。なぜならVUCAの現在では、ビジネスプラン(事業(創業)計画書)の骨組みとなるビジネスモデルづくりが大変重要になってきているからです。

 

ところで、ビジネスアイデアとビジネスモデルとビジネスプランって、何が違うねんと。

 

・ビジネスアイデアとは、お客様に喜んでいただけるような、言い換えるとお客様をハッピーな状態にして差し上げるような製品・サービス等のアイデアのこと。

・ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し顧客に届けるかを論理的に記述したもの。

・ビジネスプランとは、利害関係者(ステークホルダー)に説明するための書類のこと。

 

ビジネスアイデアはベクトルが顧客に向いています。

ビジネスプランはベクトルが利害関係者(ステークホルダー)に向いています。

 

では、ビジネスモデルのベクトルはどこに向いているでしょうか?

 

ビジネスモデルといえば、これまでは「儲けの仕組み」などと訳されることが多かったかと思います。たしかに、そう訳されていた時代はありましたし(特に2000前後〜2005年頃)、現在でもそのようなニュアンスで使われることもあります。端的で意味がわかりやすいですしね。

 

では、「儲けの仕組み」のベクトル(言い換えると主語ですね)はどこに向いているでしょうか。

 

そう、自社ですよね。

 

しかし最近、特に2010年以降くらいはビジネスモデルの定義の中に「顧客」や「価値」といったキーワードが入ることが多くなってきていて、ビジネスモデル・キャンバスの教科書「ビジネスモデル・ジェネレーション」でも、上述のように「どのように価値を創造し顧客に届けるかを論理的に記述したもの」と定義されています。

 

モノやサービスはもちろんのこと、多くの市場が成熟しビジネスモデルもコモディティ化しているVUCAの現在では、既存の枠組みにとらわれないようなビジネスモデルレベルでのイノベーションが重要になってきています。

 

もちろん、従来のように●●業といえば一般的にこんな構造のビジネスモデルだよね、で、強みは?競合との差別化ポイントは?という感じで一般的な同業のビジネスモデル踏襲して、いわゆる同業他社と差別化された製品・サービスに重点を置いたビジネスを否定しているわけではありません。

 

でも、時代はVUCAです。

いつ何が起こってもおかしくない時代、ある日突然に天変地異が起こる現在なのです。

そんな時代に身に付けないといけないのは、変化対応的な自己変革能力(ダイナミックケイパビリティ)

 

なので、みなさんがハッピーにしたい顧客の片付けるべき用事(ジョブ)を片付けるための価値提案を創造し、創業時のイノベーティブなビジネスモデルをデザインするのはもちろん、創業後にVUCAワールドの中でさまざまな環境変化に対応していくためのシナリオを継続的にデザインし続け、ある日突然訪れるかもしれない天変地異を乗り越える力を身につけていただくためにも、創業(予定)者のみなさまにビジネスモデル創りを身につけていただきたいと考えています。

 

ということで、今日はこの辺で。

 

(参考)

Businessmodel Generation(翔泳社)

Value Proposition Design(翔泳社)

ダイナミック・ケイパビリティ戦略

ジョブ理論